青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。



『…なんか、すごい元気だね。心配して損した』

ニコニコ笑う俺を見て、ジトッとした目を向けてくる麗奈ちゃん。

…そんなに、具合悪そうに見えたんだろうか。

麗奈ちゃんは俺をじっと見て、『そういえば』と言う。


『珍しいね。ひとりでいるの』


風が、彼女の髪をふわふわと揺らす。

それを見上げながら、俺は静かに『…うん』と返事をした。

『…ちょっと、面倒くさくなって』

『……何が?』

全部、とか。

言えるわけ、ないんだけど。


『…今、俺ん家ゴタゴタしててさぁ』


気づけば、声に出していた。

誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。

仲の良い友達には、言えないから。

『それで、イライラしたまんま今朝学校行ったら…みんな、すげー心配してくれんの。変にふざけて盛り上げようとする奴までいてさぁ』

偶然知り合った麗奈ちゃんに、俺、愚痴ってる。

…嫌な奴。

彼女はまっすぐ、俺を見ていた。


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