青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


『…心配してくれるのは、嬉しいけど。ちょっと、そっとしといて欲しいっつーか……』


そこまで言って、沈黙に焦り出す。

…いや、何言ってんだ、俺!

『…と、とかな!最低だよなぁ!心配してくれてんのに』

『別に、いいと思うけど』

『え?』

顔を上げて見えた麗奈ちゃんは、空を見上げていた。

それにつられて、俺も見上げる。

空は広く、青い。

様々な形をした雲が、ゆったりと流れていた。


『…あたしが見かける限りじゃ、あんたいっつも笑ってるもん。疲れたりしないのかなって、ずっと思ってた』


空を見上げながら、聞こえる声に目を見開く。

…心配、してくれてた?


『いいんじゃん、たまには。怒ったり、落ち込んだりしてても』


…麗奈ちゃんの声色は、励ますでもなく、慰めるわけでもなく、友達と話すときみたいな、何気ないものだった。

この雲のようにゆったりしていて、落ち着いていて。

思っていることを、そのままに口にしている感じ。


…それがやけに、心地良かった。



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