神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
浄化、しなきゃ。
そう思っても、腰がぬけてしまって、じりじりと後退するしかできない。
鬼は奈々ちゃんたちではなくあたしだけを見つめ、ゆっくりと近寄ってくる。
どうして……?
その鋭い爪が、目の前に迫った瞬間……。
──ぐわん!
鬼の頭上から、突然現れた大きな銀色のリングが降りてきた。
それはあっという間に、鬼の体をぎゅうぅと締め付ける。
これは、もしかして……!
「……消えろ」
鬼の背後で聞きなれた声がしたかと思うと、リングは敵を一層しめつけた。
そのまま小さくなっていくリングは、鬼の体を真ん中で押しつぶすように切断した。
どさりと倒れた体は、血液を流すこともなく、さらさらと灰のようになり、風に舞っていく。
「大丈夫か?」
鬼の代わりに現れたのは、そんな優しい声を発する幼なじみ……風牙くんだった。
「風牙くん……」
安堵の涙が出そうになる。
彼は胴着のまま、あたしをそっと抱き寄せてくれた。