神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「彼女は医務室に連れていく。
あんたは今見たことを、内緒にしておけ」
「……嫌だと言ったら?
口止めする前に、ちゃんと説明してほしいんですけど」
意外なことに、槙原くんは風牙くんに逆らった。
ずれていたメガネを直し、じっとあたしたちを見つめている。
「どうせ説明しても、わかりはしないさ。
自分の目に見えないものを、人は信じようとはしない」
ぼそりと風牙くんが言う。
「内緒にしておけと言ったのは、依頼じゃない。忠告だ。
誰かに話しても、あんたが頭がおかしいと思われるだけだから」
槙原くんが不快そうに眉をひそめた。
そんな言い方しなくても……槙原くんなら、もしかしたら信じてくれるかもしれないのに。
「行くぞ、美心」
「うん……あの、ごめんなさい。
また明日……」
奈々ちゃんを放ってはおけなくて、あたしは風牙くんのあとを追いながら、槙原くんにあいさつをした。
こんなに憂鬱な「また明日」を言ったのは、産まれて初めてだった。