神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「いいなあ……」


背が高くて、イケメンで……こんな人に守ってもらいたい。


「でも現実にはありえないよね~……」


……自分だって、現実には起こりえないシチュエーションの真っただ中にいることは棚に上げて、あたしは一人でつぶやく。


ああ……。


せっかく槙原くんが、歩み寄ってくれていたのに……。


親しくなりたいと思っていたなんて、言ってくれたのに。


『一緒に帰っちゃおうか?』


『これはチャンスだと思って』


優しい目で、照れたような顔をしていた槙原くん。


そのセリフが、何度も何度も頭の中でリフレインする。


「なんでなの……?」


もしかして、と思った。


もしかして、これは恋のおとずれなのかと。


ずっと憧れていた、漫画やドラマの中でしかありえなかったことが、自分にも起きているのかと。


ドキドキして、頬が熱くなった。


嬉しかった。


なのに。


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