神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「じゃあ、おやすみ」
今までのセクハラ大王が嘘のように鳴りをひそめ、四郎くんは去っていく。
あっさりとしたその態度に、あたしはやっとからかわれていたことに気づいた。
あんなに焦ることなかったんだ。
あたしなんかを、本気で襲うわけないんだから……。
「四郎くん……」
もしかして、ちゃかすようなふりして、励ましてくれたの?
ぽつりと名前を呼んだ声に、彼は少しだけ振り返る。
「お……おやすみなさい」
それだけ言うと、彼はふっと微笑み、長い手をのばして、あたしの頭を一瞬だけなでた。
その優しい仕草に、胸の奥がふにゃりと溶けるような、へんな感じがした。