神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「ほんとか?」
「うん……ひどいことはされてないよ。
むしろすごく優しくて……」
おっと、余計なことを言いそうになっちゃった。
慌てて口をふさぐと、見上げた雷牙はなぜか真っ赤な顔をしていた。
「あの……雷牙?」
「お、おお……悪い、俺ちょっと思春期みたいだわ」
「そんなセリフだけで何を想像しているんだ、お前は。
思春期と言うより、発情期だろう」
「うっせえよ!」
雷牙は四郎くんに言い返すと、じっとあたしを見つめた。
「じゃあ、なんで戻ってきたとき、まぶたがはれてたんだ?」
「あ……」
彼はてっきり、四郎くんがあたしを泣かせたと思っていたみたい。
そうじゃない、と弁解しようとしたら、視界のすみに槙原くんの後姿がが見えた。
ずきり、と痛む心臓。
悲しい……っていうより、ストレスみたいに感じる。
今の彼から、オロチの気配はみじんも感じない。
彼は、どこまで彼だったんだろう?
どこまで、覚えているんだろう……。