神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「たのもう」
学校から歩いて20分くらいの紙井湯診療所に到着。
四郎くんが先頭に立ち、その古い引き戸を開けた途端……。
なにやら、むわりと温かい、いちごの温室のような空気があたしたちを包んだ。
甘いにおいがするような気もする。
「これって……妖気?」
「妖怪の患者か?」
スサノオ兄弟が、廊下の先を警戒してにらむ。
「見てのお楽しみだ」
誰も出てこない玄関に勝手に上がる四郎くんの後を、あたしたちが続く。
そしてこの前通された居間のふすまを、四郎くんは遠慮なくスパーンと開けた。
そこには……。
「はい先生、あーん」
「先生、私が入れたお茶も飲んでね」
語尾にハートマークを付けたようなしゃべり方の女の人が二人、白衣を着て紙井湯先生の両隣にべったりくっついていた。
ナースさん?
二人とも髪が長くて、体中からフェロモンをまき散らしてるみたいな美女だった。