神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「四郎くん……」
「ま、神の子と崇められての生活も悪いことばかりではなかったがな。
父は生まれつき強い力を持っていた我を、顔には出さぬが怖がっていたのだろう。
しかし農民たちは、我が何をしても奇跡だといって褒めてくれた。
自分たちの食料を我に差し出し、我が年頃になれば娘を代わる代わる連れてきた。
ろくに食べてない娘たちは骨と皮ばかりで、何をする気も起きなかったがな」
ははは、と笑った声はかすれていた。
手はいつの間にかロザリオから離れ、力なくひざに乗っていた。
一瞬うつむいた顔が、ゆっくりと上がってあたしを見つめる。
その青い瞳が、少し潤んでいるように見えたのは、気のせい?
漆黒の前髪がさらりと流れるのに見とれていると、四郎くんはいつの間にか片膝をつき、その顔が目の前にあった。
「……だから、我を救世主扱いしないお前のことは、すごく好きだ」
吐息がかかりそうな距離で、彼はささやいた。