神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「だから……オロチの好きなようにはさせない」
昼間抱きしめられたことが頭をよぎり、余計にドキドキしてきた。
四郎くんは、特殊な力を持って産まれたことを悔やんでるんだ。
その笑顔からは、誰でも虜にしてしまうくらいの、いつもの破壊力がなくなっていた。
そんな儚げな、消えてしまいそうな笑顔なんかいらない。
「あ、あたしも、手伝う。何かする!」
気づけば、口が勝手にそんなことを言っていた。
だって、四郎くんの力になりたい。
守られているだけなんて、いやだ。
「なにかって……」
「四郎くん、あたしの力を元に戻して。
弱い妖怪たちも精霊たちも、見えるものはなんでも見ておきたいの。
そうすれば、周りの変化にもっと早く気付けるかもしれないし……」
今までのように精霊の声に耳を傾ければ、直接情報が入ってくるかもしれない。
学校の精霊はいなくなってしまったけど、小糸さんたちの話によると、まだ自然が多いところの妖怪は残っているみたいだし。
彼らはあたしの友達だったから、もしかしたら協力してくれるかもしれない。
それに、苦しんで助けを求めてくる霊からも、何か聞けるかもしれない。
逃げ回ってばかりいても、何も良くならない──。