神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
はあ……。
あれから5時間後、すっかり暗くなってしまった窓の外。
慣れきった自宅なのに、今日はすごく落ち着かない。
……だって、一つ屋根の下に、イケメンさんが寝てるんだもん……。
結局あれから、天草さんのつけエリと陣羽織を脱がせ、風牙・雷牙兄弟の知り合いだというお医者さんに連れて行った。
天草さんのながーい黒髪は明らかに現代ではおかしくて、通行人はぎょっとしてこちらを見たけれど、すぐに視線をそらした。
どうやら、人というのは、あまりにも自分の理解を超えたものを見ると、一度「見なかったこと」として頭が処理してくれるみたい。
そしてなんとか通報されずにたどり着いた診療所は、普通の住宅街の一角にあった。
パッと見診療所だなんてわからない、普通の古い民家みたいなところだった。
本当に小さい【紙井湯(カミイユ)診療所】というプレートが、ポストの上にちょこんと乗っていた。
『おい先生、妖怪がらみの怪我人だ。よろしくー』
雷牙が玄関でそう怒鳴ると、奥からからからと音がして、のっそりとお医者さんらしき人が出てきた。