神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
すごく心配をかけていたんだということに気づいて、胸が苦しくなる。
両親はあたしと違ってごく普通の人で、あたしの変な能力のことも知っている。
それでも普段はあまり深刻になることもなかったし、そんなの気にすることないって言ってくれていた。
だけど……やっぱり、心配してくれてたんだね。
「よし、完璧!可愛い!」
編み込みにしたサイドの髪に、花の髪飾りをつけて、お母さんは満足そうに笑った。
「ありがとう……お母さん」
お礼を言うと、お母さんは微笑んだまま、和室のふすまを開ける。
そこには先に支度の終わった四郎くんがいた。
あたしに気づいて振り向いた彼は、黒をベースにした浴衣を着ている。
お兄ちゃんのものを勝手に借りて。
さすが、と言うべきか、自然にそれを着こなす彼からは、普段は隠れているほのかな色気が、ふわりと漂っているみたいだった。
「……すご。モデルみたい、四郎くん」
すらりとした体型に、甘いマスク。しかも浴衣。
うっかり見とれていたあたしは、ぽかーんと口を開けっ放しだったのに気づいて、慌ててそれを閉じた。