神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
†幕間† 追憶【四郎】
窓の外は、先ほどのことなど何もなかったかのように、静かな夜空が広がっていた。
美心の寝息を聞きながら、そのベッドにもたれる。
オロチと対峙して多大な力を使い、疲れたのだろう。
呪いをかけられたりはしなかったようだが、彼女はあれから眠り続けている。
母親が着替えさせても、我が寝床まで運んでも、目を覚ますことはなかった。
きっと、よく休めばそのうち目覚めるだろう。
オロチが去ったあと、我とスサノオ兄弟で、奴が残していった妖怪を始末した。
決着が着いたころ、倒れていた人々はそれぞれ、意識を取り戻した。
雷牙が「明日のトップニュースになるな」と、よくわからないことを言っていたのを思い出す。
「……なんでだろうな……」
静かすぎる部屋の中で、自分の声がやけに低く聞こえた。
「なあ、美心よ。
どうして抵抗しなかった」
彼女が聞いていないのを確信しつつ、問いかける。
なぜ、美心は泣きそうな顔をしていたのだろう。
まるで、我と離れるのが寂しいと言うように。
潤んだ瞳に吸い込まれるように、気づけばこの腕に彼女を閉じ込めていた。
力をわけてやったときの戯れの口づけと今日のそれは、全く違う味がした気がした。
やけに赤い飴の甘い香りと、その唇の柔らかさが、今もまとわりついていて……離れない。
「一番の罪人は我か……」
目を閉じる。
美心の寝息と、自分の呼吸の拍子を合わせてみる。
すると、懐かしい景色がまぶたの裏に広がった。