神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
二人の攻撃で、カラスたちは黒い霧となり、曇り空へと溶けていく。
「良かった……きゃっ!」
「危ない!」
空ばかり見上げていたら、いつの間にか目の前に男子生徒がいた。
羽根で精神を汚染されているのか、焦点の合わない目をして、突然殴りかかってくる。
そんなあたしの肩を、四郎くんがぐいっと引いてくれた。
「あ、ありがとう」
お礼を言うけど、そんなことにかまっている暇はなさそう。
四郎くんは杖を構え、短く言う。
「足手まといだ。逃げろ」
「えっ、でも……みんなを浄化しなきゃ。
あたしも手伝うよ」
「ここは我に任せろ。
早く、校舎の中へ逃げろ」
言うが早いか、消えていったカラスたちの代わりに、上空に大きな影が現れる。
カラスよりずっと大きな翼を持つ生き物、あれは……。
「カラス天狗だわ……!厄介なのが来ちゃったわね」
そう言ったのは、六花さん。
大きな鼻に山伏みたいな恰好をしたそれは、たしかに天狗みたい。