神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「四郎くん、一人じゃ無理だよ」
いくら強くても、全校生徒と教師を相手に、一人で戦って浄化までするなんて……。
あたしも浄化だけでも手伝いたいと、四郎くんの背中の影から出ようとするけれど。
「下がれ!」
まるで邪魔だとでも言うように、四郎くんはあたしを突き飛ばす。
倒れそうになった体を、小糸さんが受け止めてくれた。
「四郎くん……」
「……早く、避難しろ。
我には、誰かを守りながら戦うというのは、性にあわん」
「そんな……」
「行け!早く!」
四郎くんが怒鳴りつけたのは、あたしじゃなかった。
目を合わせたのは小糸さんで、彼女はうなずき、あたしの手をひいて走り出す。
「さあ……かかってこい、妖怪め。
この天草四郎の首、取れるものなら取ってみろ!」
四郎くんはまるで地獄の底から響くような低い声で怒鳴ると、遠慮なく杖を振り回しはじめた。
そんな……四郎くん。
どうして一人で戦おうとするの?
あたしじゃ、何の役にも立たないの?