神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
小糸さんに手を引かれ、校舎の入り口へと導かれる。
「奥の方へ隠れてなさい。いい?」
「小糸さん……」
「こっちの方が、危険は少ないはずよ。
だから四郎様は、あなたを避難させたの。
ね、ポジティブにとらえるの。わかった?」
小糸さんは一瞬だけ笑うと、また厳しい表情に戻り、戦場と化している校庭へと駆け戻っていく。
何の力にもなれないのにそこに立っているのが苦しくて、あたしは校舎の中へと足を進めた。
隠れることが、四郎くんの望むことなんだよね?
一緒に戦うことよりも……。
情けなくて涙が出そうだったけど、そんな場合じゃない。
隠れる場所を探し、階段を昇ろうとしたそのとき……。
「神崎さん……」
ぎくりとした。
突然背後から、聞いたことのある声がしたから。
そしてそれは、ここで聞こえるはずのないもので……。
ゆっくりと振り向く。
そこには、優しい声の主……槙原くんが、こちらを見て立っていた。