神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
無駄だとどこかでわかっていても、教職員入り口に向かって走る。
恐怖で足がもつれて、何度も転んだ。
簡単に追いつけるはずのオロチは、そんなあたしの様子を楽しんでいるかのよう。
一定の距離を保ち、追いかけてくる……。
「来ないでっ、来ないで!」
やっぱり教職員入り口も、非常口も、どこも開かなくて。
どこをどう走ったのかわからなくなったころ、あたしはまた転んだ。
「……どうしたの?もう終わり?」
オロチは槙原くんの言葉で話しかけてくる。
「やめて……。
その人から、出ていって!」
「それはムリだよ。
僕が望んだことだからね」
「へ……?」
床に座り込んだまま、なんとか後ずさる。
がつん、と何かに背中がぶつかって気づいた。
ここは、あたしたちの教室……。
「この者は、天草四郎がいなければと、強く望んだのだ。
わしと気が合うだろう」
「オロチ……!」
槙原くんののどから出てきた、隙間風のような音。
それは確かに、オロチの声だった。