神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「あぁ……」
オロチがいなくなると、体中から力が抜けていくような気がした。
倒れた槙原くんは、眠ったように安らかな顔をしている。
「美心……」
四郎くんが、ゆっくりと振り返り、ひざをつく。
視線が同じ高さになったと思ったら、もうあたしは四郎くんの腕の中にいた。
そのブルーの瞳を、見つめる前に。
「すまなかった。怖かっただろう」
ぎゅっと抱きしめられる。
その途端、はりつめたものが切れた気がした。
「四郎くん……!」
遠慮も忘れ、全力でしがみつく。
さっきまで怖くて仕方なかった人の体温。
けれどそれが四郎くんのものだと思うと、体中が安心感で満たされた。
四郎くんの大きなため息が、あたしの背中にかかる。
気づけば、あたしを抱きしめる四郎くんの腕が、微かに震えていた。
「良かった……お前が、壊されてしまう前で」
「四郎くん……」
「美心、我を殴れ」
「えっ?」
四郎くんは体を離し、真面目な顔であたしを見つめた。