神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「四郎くんが、罪で汚れているなんて、考えたこともない」
勇気を出して、そっと手をのばす。
指先に触れたのは、陶器じゃなくて……たしかに温かい、人間の肌。
長いまつげが、ゆらりと揺れる。
その奥のブルーの瞳が、水をたたえた海のように見えた。
「……ああ、もう無理だ!」
四郎くんはまたぎゅっと、あたしを抱きしめる。
「こんなの、我には似合わない。ムリだ。自分を責めて、被害者ぶるのはもうやめだ」
「ちょっと、四郎くん?」
「難しく考えるのもやめだ。
ほしいものはほしい!」
突然いつものような発言に戻る四郎くん。
彼は必死で、何かを振り切ろうとしているみたいだった。
「四郎くん?ねえ、何の話?」
その背中をさすると、四郎くんはあたしを抱きしめたまま、ぽつりと言った。
「こんな思いをするのはもう、ごめんだ」
抱きしめる腕に、力がこもる。
「そばにいろ。
一時も離れるな」