神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「美心は食わないのか?」
弟とは違い、静かにスプーンを持った風牙くんが、不思議そうに尋ねる。
「うん、いいの」
「どうして?」
「お腹……空いてないから」
というのはウソ。
本当は空いている。
さっきあんなにチョコ食べたのに……。
そう、あのチョコとペットボトル1本分の紅茶のカロリーの逆襲が、今から恐ろしい。
だから、あまり食べたくない。
だって、あたしだって年頃の乙女だもん。
痩せてキレイになりたい……太りたくない!
「体に悪いぞ。
お前も食べろよ」
と言いながら、自分の分は渡すつもりのなさそうな雷牙。
「ほら、少しでいい。食べろ」
風牙くんはスプーンにオムライスを乗せ、「あーん」と言ってくる。
すると、おいしそうなケチャップの香りがふわりと鼻をくすぐった。
食べたい……。
「はっ!だ、ダメ……っ」
「ダメって……お前、また太りたくないから食べないとか思ってるんだろ」
ぎく。
黙っていると、雷牙がのんきな笑顔で笑う。
「バカ。お前は太ってねーよ!気にしすぎだ。
もっと食えよ!」
もう……風牙くんと雷牙は、いつもそう言ってあたしを甘やかして、太らせようとする。