神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
『近いうち、必ずお前を滅ぼしてやる。
残りの人間は、それからだ』
オロチの今の一番の狙いは、四郎くんだ。
四郎くんは近くにいたあたしを巻き込まないように、黙って出ていってしまったの?
「四郎くんは……どこにいるの?」
涙でぼやけた視界を、手でぬぐう。
「……ついさっき、カラスたちがいっせいにある方向へ飛んでいったそうだよ」
「ある方向とは?」
「きみたちの、学校だ」
紙井湯先生の声に、ハッとする。
学校……。
きっとそこで、結託した妖怪たちで四郎くんを滅ぼすつもりだ。
「行かなきゃ」
すぐに駆け出そうとしたあたしの手を、がしっと誰かがにぎった。
振り返ると、紙井湯先生が厳しい表情をしていた。
「君は残るべきだ。
彼は君を巻き込みたくなくて、一人で立ち向かおうとしてるんじゃないのか?
君が危険にさらされることを、望んでいると思う?」
紙井湯先生の質問は、とても簡単だった。
四郎くんは、そんなこと望んでいないだろう。
でも。