神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
†終幕

・REDEMPTION【四郎】



……崩れた教会が見えた。


美心たちの学校の、裏庭だ。


無残に崩れたがれきの上に、十字架がうち捨てられていた。


まだ撤去されていないそれを、じっと見つめる。


オロチの手下たちが自分を探しているのに気付いたのは、明け方だった。


すやすやと眠る美心の額にひとつ口づけを落とし、我はあの家を出た。




すまない、美心。


もう少し、時間があると思ったのだが……オロチは我が幸せな日々をすごすことが、許せないらしいな。



教会の付近には、オロチの手下たちが集結しつつあった。


悪霊や妖怪の大群は裏庭に入りきれず、校内外に流出している。


早く決着をつけなければ……また、無関係な人間たちを巻き込んでしまう。


これは、オロチと我が江戸時代につけるべき決着だった。


この平和な時代に、持ち込むべきものじゃなかったんだ。



なあ、美心。


約束を早々に破ってすまない。


けれど、お前の世界は……我が必ず、守るからな。





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