神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


ざわ、と敵の波が揺れたような気がした。


言葉が通じたか?


そう思った瞬間……曇っていた頭上が、一段と暗くなった。


「来たか……」


雲の上から、ゆっくりと降りてきたそれは……。


鋼よりも固い鱗を持った、ヤマタノオロチだった。


『裏切ることは、許さぬ』


そう言われたのは、妖怪たちだ。


空中に響くその声に、奴らはびくりと体を震わせた。


オロチは白い腹を、教会の残骸の上に乗せる。


「手下を集めねば、我を倒すことができんのか」


挑発するが、オロチは鼻で笑う。


『お前ごとき、わしが直接手をくだすまでもないわ』


……一度は傷を負ったくせに。


とは言わず、杖を構える。


とにかくオロチを消せば。


あいつさえ消えれば、あとは烏合の集だ。


「そう言わず、勝負をしろっ!!」


杖を構え、一直線に走る。


その瞬間、周りの妖怪も動き出した。


どこからか矢が飛んできて、肩をかすめた。


「く……っ」


飛び散る血が視界を邪魔するも、我はオロチの腹だけを狙い、走る。


< 305 / 379 >

この作品をシェア

pagetop