神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
ざわ、と敵の波が揺れたような気がした。
言葉が通じたか?
そう思った瞬間……曇っていた頭上が、一段と暗くなった。
「来たか……」
雲の上から、ゆっくりと降りてきたそれは……。
鋼よりも固い鱗を持った、ヤマタノオロチだった。
『裏切ることは、許さぬ』
そう言われたのは、妖怪たちだ。
空中に響くその声に、奴らはびくりと体を震わせた。
オロチは白い腹を、教会の残骸の上に乗せる。
「手下を集めねば、我を倒すことができんのか」
挑発するが、オロチは鼻で笑う。
『お前ごとき、わしが直接手をくだすまでもないわ』
……一度は傷を負ったくせに。
とは言わず、杖を構える。
とにかくオロチを消せば。
あいつさえ消えれば、あとは烏合の集だ。
「そう言わず、勝負をしろっ!!」
杖を構え、一直線に走る。
その瞬間、周りの妖怪も動き出した。
どこからか矢が飛んできて、肩をかすめた。
「く……っ」
飛び散る血が視界を邪魔するも、我はオロチの腹だけを狙い、走る。