神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
敵を遠ざけることには成功したが、やられた脇腹がずきりと痛む。
『覚悟しろ、天草四郎』
ふらりと立ち上がると、いつの間にかオロチの前に多くの妖怪がたちはだかっていた。
もう簡単には、たどり着けまい。
「覚悟など、するか」
脳裏に浮かぶのは、あの地獄のような惨状。
城を攻めるキリシタンたち。
迎え撃つ幕府軍。
二つの大きな波がぶつかると、血の海が湧き、屍の山が築かれた。
もう、あのような光景は二度と見たくない。
この世界だって、争いはある。
食べ物に困っている人間もいる。
そう教えてくれたのは、いつも困った顔で、自信なさげに立つお前だった。
人に傷つけられることより、人を傷つけることを恐れる。
なあ、美心。
お前は自分が思っているほど太ってもいないし、醜くもない。
どんなに事実を伝えられていても、自分を認めることがなかなかできなくてもがいている姿が、自分と重なった。
お前は、自分の人と違う能力を恐れ、憎んでいたのだよな。
だから、なかなか自分を認めることができなかったのだよな。