神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
でもな、美心。
心から自分に自信を持っている人間が、この世にどれほどいるだろう?
誰でも、自分を良く見せようと必死なのではないか?
それを悪く言うつもりはない。
我らはそうやって、少しずつ、自分を探していけばいいのだ。
人は、ときには虚勢を張ってでも、守らねばならぬものがあるのだから。
「我は……お前など、怖くない」
怖いのは、自分を見失うこと。
そして、お前を失うことだ。
杖を握りなおし、再びオロチに向かおうとした刹那。
「四郎くん!」
背後から声がして、思わず振り向いてしまった。
ああ……やっぱり。
もうすでに泣きそうな、お前がいる。
「来るな!」
我らの起こした乱も、そのあとの戦争も、何の意味もなかった。
人間は誰も、過去の犯した罪を教訓にしてくれない。
けれど……たとえこの世界が、争いと汚れに塗れていても。
お前が生きていてくれるなら、守る価値があると思うんだ。
この世界を、今度こそ、守ってみせる。
それが我の……贖罪だ。