神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
・決戦の地
「あのアホ!
ひとりでこんだけの数相手にしようってのか?」
雷牙が舌打ちをし、ギターをかまえる。
「四郎くん……!」
四郎くんは白装束に陣羽織という、あたしが召喚してしまったときと同じ格好をしていた。
後頭部で一つにまとめた長すぎる黒髪が、風になびいている。
その姿は神の御使いの『天草四郎時貞』そのものであって、あたしが知っている四郎くんではないような気がしてしまう。
「援護するぞ、雷牙」
「おう!」
「美心、お前は後ろに……って、おい!」
あたしは二人のやりとりも放って、四郎くんのそばに駆け寄る。
その途端、妖怪たちがあたしに向かおうとした。
『その娘はわしの獲物だ。
手を出すな』
オロチの恐ろしい声が空に響くと、妖怪たちは動きを止めた。
心の底から大っ嫌いだけど、今だけありがとう!
「馬鹿!来るな!」
四郎くんがぎょっとした顔で、あたしを追い払おうとする。