神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
びりびりと空気が震え、それだけで恐ろしくて立ちすくみそうになる。
そんな中でも四郎くんは、真っ直ぐにオロチをにらんでいた。
「早く、お前たちは六花たちと行け。
ここから離れろ!」
怒鳴ると、四郎くんは杖をにぎりしめる。
陣羽織の背中に刺繍された金の十字架が、痛いほど輝いていた。
スサノオ兄弟があたしの両腕をそれぞれつかんで、四郎くんの言う通りにしようとする。
引きずられるように数歩後退したあたしに、ふと四郎くんが振り返り、笑いかけた。
「……美心。
我はもう、逃げることはしない」
それだけ言うと、彼はオロチに向き直る。
そして光る杖をかまえ、躊躇なく地を蹴った。
「四郎くん……!!」
ダメだ。
本能が叫ぶ。
あたしは夢中でスサノオ兄弟の静止を振り切り、四郎くんの後を追う。
「一騎打ちでかたをつけようではないか、オロチ!」
彼はあたしに気づいていない。
目の前の敵しか見ずに、その巨大な体に突っ込んでいった。