神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
四郎くん────。
なんとか、彼に手を伸ばす。
すると、黒い髪をなびかせた彼も、こちらに手を伸ばした。
なんとなく、頭上が明るくなってきたような気がする。
嗅いだことがあるようなにおい……。
漂ってくるこれは……何かが燃えて、焦げているようなにおい。
あと少しで四郎くんの指先に触れられると思った瞬間、目の前が急に明るくなって目を閉じる。
──バリバリバリバリ!!
体の周りで轟音がした。
まるで、古い家の解体工事のような音。
耳が痛い。
すると、誰かがあたしをその音から守るように、ふわりと抱きしめた。
やっと目を開けると、あたしの顔をのぞき込んでいたのは……。
「このっ、バカ者がぁぁぁっ!!」
めっちゃ怖い顔の、四郎くんだった。
長い髪をなびかせた彼が、あたしをお姫様抱っこの状態ですたんと地上に着地する。
周囲では、教会の屋根が崩れてきたときのように、土煙がもうもうと立ち上っていた。
そこらじゅうに瓦礫が落ちている。
上を見れば、少し曇った空が、煙の隙間から見えた。