神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
四郎くん、雷牙、風牙くんが一斉に、8つの頭の方へ向かう。
あたしはオロチの動きが止まる瞬間に触れられるように、お腹の方へと走る。
「あーなんかすげームカつく!!」
雷牙がピックを天にかざすと、ゴロゴロと雷鳴が轟く。
「さっさと決着つけてやる!」
江戸時代に似合わない、エレキギターの音の洪水。
それと共に、空から何本もの太い柱のような雷が落下した。
「すごい……!」
今で見たことないくらい強烈な稲光に、オロチの灰色の目も思わず閉じられる。
その隙を逃さず、他の2人が地を蹴った。
空中に躍り出た風牙くんは、風のリングを巨大化させる。
「いけっ!」
両手から放たれた2つのリングは、雷で視界を奪われたオロチの頭を通り、首を締めつける。
だけど、さすがオロチ。
鬼のように簡単には行かないみたいで、苦しんだ頭はどてばたと暴れまわる。
そこから吐かれた毒霧に、雷牙の制服の裾が溶かされた。
「危なっ!」
「くっ……雷牙、手伝え!」
リングを遠隔操作する風牙くんの気の消耗度も、今までの比じゃないみたい。
額に汗を浮かべる彼に寄り添い、雷牙がギターをかき鳴らす。
するとそこから放たれた稲光が、リングの巻きついた首を傷つけた。
「鋼より固いオロチの鱗が傷つくなんてな。
やればできるではないか、神の子らよ!」
四郎くんはそんな皮肉を言い、暴れまわるオロチの首もとに跳躍し、ひとつの首の上に飛び乗った。
『おのれっ、わしに触れるな!』
オロチは四郎くんが飛び乗った首を振り回す。
そのせいで胴も動き回り、あたしは吹き飛ばされないように、一定の距離を取りながら走り回った。
まだ動きを止めるには足りない。