神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


あたしがちょこちょこ動き回っている間にも、四郎くんは暴れまわる首の上を軽々と飛ぶように走る。


そして、とうとう頭の上に着地した。


ぐらぐら揺れるオロチの頭の上で、四郎くんは綱渡りのように光の杖でバランスを取る。


そして……。


「やぁっ!」


杖が今までより一際強い光を放ったと思うと、オロチの頭の真ん中に突き立てられた。


固い鱗に覆われた頭は、抵抗してぱきぱきと音を立てる。


「ちっ……剥がれてしまえ!」


四郎くんが地鳴りのような声で怒鳴ると、パキィィンと固い金属が割れるような音がして……。


『ぐぅわぁあぁぁぁぁっ!!』


恐ろしい叫び声と共に、杖がオロチの顎まで貫き通す。


割れた鱗の破片が、四郎くんに降り注いだ。


頭は痛みにのたうち回る。


四郎くんは杖を抜いた。


そして、沈んでいくオロチの首の上を、まるでスノボをする人みたく、滑って地上に着地した。


「なんだあいつ!
かっこつけやがって!」


「こちらだって、負けてはいない」


風牙くんは、雷牙の雷をまとったリングに力を込める。


すると、2つの首はほぼ同時に、強風に倒された植物のように、リングのところからぼきりと折れた。


どしん、と2つの頭が畳に落ちる。


「みんなすごい!」


今で歯が立たなかったオロチと、互角以上に戦ってる。


「でも……」


3人とも、もう息があがっている。


強い疲労の色が、それぞれの顔に見えた。


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