神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
・いざ、天国(パライゾ)へ【四郎】
美心たちの姿が見えなくなった途端、ぐらりと体が傾き、ひざをつく。
「がはっ、はぁっ、ぁあ……」
喉からせりあがってくるものを吐き出す。
痛いという感覚よりも、脱力感が全身を襲った。
少しでも気を抜けば、このまま倒れこんでしまいそうだ。
しかし、なんとか膝に力を込め、立ち上がる。
階段へと向かい、足を進めると、微かに聞こえていた歌声が、はっきりと聞こえてきた。
崩れ落ちないように、ゆっくりと階段を下りていく。
すると。
「四郎様……!」
歌声が途絶える。
声がした方を見れば、数人のキリシタンが寄り添いあいながら、こちらを見ていた。
最後までそばにいてくれた、身の回りの世話をしてくれた女たちだ。
総攻撃の日、幕府軍は三の丸、二の丸を先に落とした。
城に残っていたほとんどの者は、そこで戦って命を落としたはずだ。
この本丸に、まだ人が残っていたとは……。