神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
「それは……そのときのことは、俺らにはわからないよ」
雷牙は、小さな声でいいわけをした。
その手から力が抜けた瞬間、天草さんがぐいとあたしを引き寄せる。
するとあたしは、その広い胸板に顔をぶつけるはめになった。
鼻を押さえて見上げれば、至近距離に天草さんの顔が。
うわああああ、近い近い!
「我に任せてもらおう。
寝床を提供してもらう代わりに、この娘には指一本触れさせない」
それは、オロチからあたしを守ってくれるってことなの?
そうならありがたい……けど!
「ま、まずあなたが触りすぎですから~!」
至近距離で見つめられ、肩を抱かれて。
今まで男子と付き合ったことはおろか、まともに話すらしたことのないあたしの脳は、もうオーバーヒート。
ムリムリムリ!
こんな人と一緒の家で暮らすなんて、絶対ムリだよぉぉぉ~!
だけど天草さんは、まるであたしを人質にとったかのように、しばらく離してくれなかった。
スサノオ兄弟は「絶対に美心を傷つけるようなことをするな」と念を押して、帰っていった。