神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~
そして朝になり、両親はあたしより早く仕事にでかけていった。
お兄ちゃんの……もうややこしいから、天草さんの部屋にしよう。
天草さんの部屋をのぞくと、彼はまだうとうとしているみたいだった。
5月の連休が終わったばかりの暖かい春の気候は、そりゃあ寝やすいよね……。
あたしは学校に行くとだけ言い残して、家を出てきた。
天草さんは布団から長い手を出して、返事の代わりに何度か振ると、またすぐ寝てしまった。
「昨日は大丈夫だったけど……あの人、誰にも見つからないようにおとなしくしててくれるかな……」
うちから、あの白装束で外に出られると困る。
近所の人に見られたら一巻の終わりだ。
あの人だって、それくらいのことはわかると思うけど……。
心配で心配で、学校に来るだけで疲れちゃった。
「あの……神崎さん、おはよう」
突然声をかけられ、あたしはがばりと上体を起こす。
目に入ったのは、清潔な黒髪に黒ぶちメガネ……槙原くんだった。