神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


雷牙が丸い目を見開いた途端、彼の後ろからなだれのように女の子たちが寄ってきた。


「ぎゃっ!」


女子の群れに弾き飛ばされた雷牙。


「雷牙!」

「な、なんなんだよ」


雷牙を無視し、女子たちはあたしを囲む。


怖くて怖くて、あたしはたちまち震えてしまった。


「神崎さん、あの人の知り合いなのっ?」


いったいあんたはあの人のなんなの?


そう言っているようにしか聞こえなかった。


まるであたしを責めているような、そんな目で。


「う、うん、ちょっとだけ知り合い……ただそれだけ!」


天草さんには悪いけど、どこかに逃げよう!


そう思った直後……。


「見つけた!」


がばりと、後ろから誰かに抱きつかれた。


鎖骨の上で組まれた腕は、明らかに男子のもので……。


「ぎょえええええ!」


悲鳴を上げると、雷牙があたしの背後を指さした。


「お前……っ、天草四郎!」


天草さん?


ふっとゆるめられた腕から抜け出し、背後を振り返る。


するとそこには、校庭から移動してきたとは思えないほど早く着いた、天草さんの姿が……。


< 55 / 379 >

この作品をシェア

pagetop