神様なんて信じないっ!~イケメンと妖怪、召喚しちゃいました~


「やせてはならん!」


「は……はいっ?」


「いいか、いつ飢饉が来ぬとも限らないのだぞ。

肉は蓄えておくにこしたことはない!」


……飢饉……。


いまいちピンとこないあたしにふんと鼻をならし、天草さんはおにぎりをつかむ。


「食え」


「え……いらないです」


それ、天草さんのぶんだし。


でも天草さんは、おにぎりを引っ込めようとはしない。


「いいから、食え!
我に逆らうつもりか!」


なにそれ。人におごらせといて……。


でももらわなきゃこの場がおさまらないか。


あたしは仕方なく、おにぎりを受け取る。


すると天草さんは満足そうに笑った。


「おなごは少し肉がついているくらいがいい。

天草の農民はみんな骨と皮だけで、見ているだけで切なくなったわ」


「…………」


「食べられることに感謝せよ。

それに、お前も太ってはないぞ。
決して細くはないがな」


……ほめられたのか?けなされたのか?


よくわからなかったけど、天草さんは自分だけ納得して、うどんを食べ始めた。



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