花言葉を君に。~あふたーでぃず~
タネツケバナ



結婚式から、ほとんど会わなかった。


ううん。会いたくなかった。


今度会う約束をしたのにもかかわらず、あたしは楓にぃにを避けてた。


結婚する前は、楓にぃにはただひとりの家族だった。


でも、今は違うって言い切れる。


美智さんが、尚紀さんが、和泉くんが、そしてあたしと和泉くんの子どもがいる。


あたしは寂しくなんかないって証明してた。


ひとりじゃない、もうあの頃のあたしじゃない。


そう言いたくて、嘘で本当の自分を隠してた。


━━━━昔も今も、何も変わっていない。


そんな事実を見つめたくなくて、目の前の道を通らずにわざと遠回りして。


そんなんだから、バチが当たったのかも。









・・・秋の日。


君が産まれてきたあの日の誕生花は。


そう。いつか話してあげたいな。


君の名前の理由も、誕生花も、その花言葉も。


ちゃんと笑顔で話してあげたい。


たくさん教えてあげる。


あたしと楓にぃにと和泉くんと、みんなを繋いでくれた花言葉。


君に、教えてあげる。




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