花言葉を君に。~あふたーでぃず~


風でカーテンが揺れる。


そのたびに花が香る。


「・・・楓。」


カーテンの向こうから、楓にぃにを呼ぶ声。


楓にぃにはふぅから離れて、カーテンに手をかけた。


「紫苑、これから話すこと・・・信じてくれる?」


突然の問いに、言葉が出てこなかった。


「え?」


「これから、紫苑に話さなくちゃいけないことがあるんだ。俺、うまく言えないかもしれないけど、信じてくれる?」


その瞳がすごく真剣で、あたしは頷いていた。


「・・・ありがとう。じゃあ」


「あ。ねぇ、ふぅはいても大丈夫?」


「もちろん。ふぅにも関係あることだし。」


楓にぃにはふぅに微笑みかけた。ふぅも微笑んだ。


そして、カーテンが開く・・・


南向きの窓から漏れるのは、外に植えられた楓の木の木漏れ日。


一瞬、世界が真っ白になるくらいに、すべてが白かった。


少しだけ開いた窓。窓辺に置かれた紫色した小さな花。


ベッドに座っていたのは、見知らぬ男性だった。


「・・・?」


男性はあたしを見つめて、涙をこぼした。


青白い肌になめらかに零れる涙。


「・・・紫苑・・・。」


あたしの名前を呼ぶ声。


あたしはこの花の名前を探してた。

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