花言葉を君に。~あふたーでぃず~


「紫苑。秋が来たら、もう28歳になるよね。ずっと、隠してたことがあるんだ。」


楓にぃにが小さな声で話し始めた。


「隠してたこと?」


「父さんは死んでないんだ。」


その言葉は、まるで風のように頭の中を通り抜けていった。


パパが、生きてる?


「どういうこと?」


「紫苑が生まれる前まで、父さんはいた。俺が生まれてから2年間は。だから俺は覚えてる。確かに父さんはいたんだ。でも・・・」


楓にぃには一瞬口をつぐんだ。


「さくらが、浮気をした。」


その声はベッドの上から聞こえた。


男性が涙を流しながら、そう言ったんだ。


「さくら、って・・・ママ?ママが浮気した?」


「らしい。・・・そうなんだろ?・・・父さん。」


楓にぃにが男性に向かって、父さんって・・・


「父さん・・・?・・・パパ?」


男性は涙を拭いて、ちいさく頷いた。


「はじめまして。僕が二人の父さんだよ。結城 柊(ユウキ シュウ)です。」


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