花言葉を君に。~あふたーでぃず~
柊さんは、咳き込んだ。
すかさず楓にぃにが駆け寄って、背中を優しくさする。
この人が、あたしのパパ・・・?
「いきなりでビックリしたでしょ?」
「あ、うん・・・」
「実はね、ずっと秘密にしてたけど。俺、母さんが死んで親戚に引き取られて、5年くらい経って・・・父さんが迎えに来たんだ。それからはずっと一緒に住んでる。」
5年・・・
それはちょうど、楓にぃにからの手紙が途切れた時期。
それからずっと一緒に住んでたなんて。
「紫苑にはパパは死んだことにしておく、ってなってたから。ずっと言い出せなくてごめんな。」
楓にぃには頭を下げた。
「や、やめてよ。謝んなくていいって。それより、ママが浮気したって?」
「それは。父さんから聞いたほうがいいよ。」
「・・・そうだな。僕の口から話すよ。」
柊さんは深呼吸をひとつして、あたしを見つめた。
その瞳は、どこか楓にぃにに似ている気がした。
「さくら・・・ママは君を身ごもってから、他の男を好きになった。それは僕が仕事ばかりで、ママを大切にしてあげられなかったからなんだ。」
「それで・・・?」
「浮気がバレて、ママの方から離婚を切り出してきた。僕はてっきりその男と再婚するんだと思ってたけど、違ったみたいだね。ママはひとりで君たちを育てた・・・病気で倒れるまで。」
柊さんはそうゆっくり話すと、微笑んだ。
「楓も紫苑ちゃんも、僕の大切な子どもだよ。」
その微笑みを見て、柊さんがパパだと確信した。
だって、楓にぃににそっくりだったから・・・。