花言葉を君に。~あふたーでぃず~
「ふぅの名前を決めたのは、ママなんだよ。」
「ママ?」
「うん。秋に生まれたから、秋に咲く花の名前をつけたかったの。それで調べてたらね、10月31日。ふぅの誕生日花がカエデだったの。」
「カエデ。」
「そう。それでね、楓の香りって書いてふうかって、そう決めた。なにより、パパと楓にぃにの名前が入ってる。強い名前なんだよ。」
「楓の香り。」
「いつか、大きくなったら思い出して。ふぅには、パパの強さと、楓にぃにの優しさがつまってる。ふぅは優しくて強くなれる。」
もう、涙をこらえられなかった。
涙を拭いて、頭を撫でる。
「・・・これで、終わり。ちょっと難しかったかな?」
「ううん!ふぅ、嬉しかったよ!ね、楓にぃに!!」
え・・・
振り返ると、ドアのそばで楓にぃにが立っていた。まっすぐこっちを見つめてる。
嘘・・・いつから聞いてたんだろう。
「楓香っていう名前は素敵だな。大切にするんだよ。」
・・・楓にぃに。
柊さんを見ると、涙を目尻にためて微笑んでいた。
楓にぃには、どんな気持ちで聞いていたのだろう?
次に目があった瞬間、あたしは気がついた。
優しい微笑み。あの頃、好きになった頃と全く変わらない。
・・・あたしはまだ・・・楓にぃにを想ってる。