花言葉を君に。~あふたーでぃず~
気づかないふりをして、逃げてた。
ずっと、初めて会ったときから、きっと。
それは、今も?
だって、和泉くんと結婚してふぅがいて、それでもなお?
「紫苑。」
楓にぃにがあたしを呼んだ。
「ちょっと話があるんだけど、いい?」
「うん・・・。」
「父さん、ふぅのこと見てて。すぐ帰ってくるから。」
病室を出て、裏庭のベンチに座った。
「ごめんなさい!」
先に口を開いたのはあたし。
「あの、あれ嘘だから!楓にぃにのことは確かに好きだったけど、それはまだ結城先輩だった頃の話で」
「いつだか、和泉に言われたことがある。」
「え?」
「紫苑はまだ俺が好きなんじゃないか、って。」
「!!」
和泉くんは、気づいてたんだ・・・。
じゃあ、今までどんな気持ちで?
いつも笑ってくれたから、気がつかなかった。和泉くんの優しさに。
「俺、そんなこと全く知らなくて、ずっと遥さんしか見えてなくて。・・・紫苑を傷つけたんだよね?ごめん。」
そんなの、そんなの関係ないよ。
「違うよ・・・楓にぃにのこと好きだったけど、すぐに忘れたし。和泉くんが大好きだし。それに、結城 楓はあたしのお兄ちゃんだもん。」
・・・そうだよ。
どれだけ想ったって、届かない。
届いてはいけない。
あたしが、楓にぃにを好きだなんて。
誰も知らなくていいんだ。