花言葉を君に。～あふたーでぃず～

涙は止まらなかった。


もう、終わりにするから。だからせめて今だけは泣きたかった。


・・・ふぅに言えなかったことがある。


楓香の名前、楓の字は、本当は・・・


和泉くんじゃなくて、楓にぃにを想ってつけたこと。


楓にぃにのこと、好きだった。


ううん、今も大好きだよ。


でももう終わりにするから。ちゃんと和泉くんを好きになるから。


ちゃんと楓にぃにの妹になるから。


ちゃんとふぅのママになるから。


ちゃんとママと柊さんと美智さんと尚紀さんの娘になるから。


ちゃんとあたしに戻るから・・・


だから、見守っててね。


頭上で揺れる楓の木に呟いた。


答えるように風で大きく揺れる。


楓の香りがした気がした。


ありがとう。


今までありがとう。


あたしが好きだった結城先輩はもういない。


あたしの兄、結城 楓しかいない。


もう、ただの兄妹なんだ・・・。