花言葉を君に。~あふたーでぃず~
ヒマワリ
駆けつけたときには、もう遅かった。
残された時間はわずかで、話すことさえできない。
それでもただ、手を握って声をかけた。
まだ、ぬくもりは微かに残っていた。
「おじいちゃん。」
ふぅの声で柊さんが少しだけ目を開けた。
「父さん、ふぅと紫苑と紫苑の旦那さん。来てくれたよ。」
楓にぃにが紹介すると、口元が緩んだ気がした。
「しゅうさ・・・」
柊さん、そう呼ぼうとして口ごもった。
いいのかな。
最期まで柊さんで。
いや、ダメだよ。あたしの本当の想いは・・・
「・・・パパ。」
あたしの声に驚いたのか、柊さん・・・パパは目をゆっくりと開けた。
口がなにか言いたげに動くけれど、それは声にならない。
その目から涙が光となってこぼれ落ちた。
あたしの目からも、楓にぃにの目からも。
そして小さく笑ったパパの人生は、小さな電子音が鳴り響いたその瞬間、終わりを告げた。
あたしの言葉はちゃんと届いたかな。あたしは強くなれたかな。
パパ。ありがとう。
窓辺でいつものようにシオンの花が揺れ、外では楓の木が揺れていた。