花言葉を君に。~あふたーでぃず~
先に入場した和泉くんの後ろ姿を見て、思った。
あたし、和泉くんのこと好きだよ。
これからずっと一緒にいようね、って約束したこと、後悔してないよ。
いつか子供と一緒に、ずっと仲良く暮らそうね、って。
先輩と出逢って、一度はフッたけれど本当に好きになって、付き合いだして今、結婚する。
そんなこと、あの頃のあたしはきっと望んでなかった。
きっと、結城先輩と一緒になることだけの望んでた。
そして、楓にぃにに出逢うこと。
それだけが唯一の希望だった。
そんなあたしを愛してくれたのは和泉先輩で。
だからあたしは・・・
「よし、行こうか。紫苑ちゃん。」
隣で少し緊張気味の尚紀さんが優しく微笑んだ。
「はいっ。」
あたしは笑顔で答える。
重く大きな扉が、今開く。
チャペルに射す、暖かな光。
真紅のカーペットの上を一歩、一歩進んでいく。
通り過ぎた席に、見つけた。
振り向くことはできない。でも、確認なんてしなくてもわかる。
あたしを待つ和泉くんと目があった。
一筋の涙が頬を伝った。