花言葉を君に。~あふたーでぃず~
「っていうか、お前新婦の親族だろ?」
「そうだけど、紫苑は美智さんところと縁組してるし。戸籍上では他人なんだよなぁ。」
・・・そう。
だから、あたしは苦しい。
楓にぃには、あたしのお兄ちゃん。
そのことは事実。
でも・・・それは結城先輩が楓にぃにだと言っているだけってこともなくはない。
戸籍上では、他人。
だから、あたしを揺るがしていた。
本当は、愛してる。お兄ちゃんだってことを抜きにして、結城 楓という人を愛してる。
わかってる。
結城先輩が楓にぃにだってわかったときは、諦められた。
しかも、遥さんのことを好きだって知ったときも、諦められた。
なのに、なんで今更気づいてしまったんだろう?
こんなにも楓にぃにのことを、男の人として愛してるだなんて・・・
「・・・紫苑。」
名前を呼ばれるけれど、振り向けない。
「・・・ん?」
「遅くなってごめん。・・・結婚おめでとう。」
笑えるかな。
大好きな楓にぃにに、涙は見せたくない。
ひと呼吸おいて、笑顔をつくって振り向いた。
「ありがとう。」