華と果実
学校も終わり、バイト先へ。

「おはようございまーす」
「おはよう」×何人か
「ママさん、おはようございます。」
「おはよう、柏倉くん」

ママさん。この人は社長の奥さんで
ホールで一番権限を持ってる。
人柄が良く、京都の人でとても
おしとやかに見える。そう、見える。

「そういえばね、次の土曜日に
新人の女の子入ってくるから」
「えっ、まじすか!ママさん的にどすか?」
「可愛いと思うよ、日本人形みたいで」
あぁ、忘れてた。ママさんの見た目の
基準はとことん低く、イケメンの基準も
だいぶおかしい。いや、狂っていた。
「…はぁ、楽しみにしときますね!」

この時の俺は本当の日本人形しか
頭に浮かばなかった。
帰宅して日本人形がバイトする姿を
一人で想像し、笑っていたのは秘密だ。
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