いつでも王子様



「あの日の何日か前に、竜也さんの設計デザイン大賞の受賞が発表されただろ?テレビでそのことを知って、確かに嬉しかったし誇らしかったのは嘘じゃないけど、やっぱり敵わないって思ったのも確かなんだ。璃乃が病気で入院したり手術を受けたりした時、いつも璃乃の側にいて可愛がってくれた素敵なおじさん。……というよりも、璃乃にしてみれば素敵なオトコ」

「あ……うん、確かに、竜也お兄ちゃんは素敵だけど」

相変わらず私の首筋に顔を埋めたままで話し続ける薫の背中に手を回しながら、答えた。

今、どうして竜也お兄ちゃんのことが出てくるのかわからないけれど、薫にしてみればとても大切なことらしい。

それに、薫の言うとおり、確かにあの日の数日前竜也お兄ちゃんが設計デザイン大賞という名誉ある賞を受賞して、我が家は大騒ぎだった。

竜也お兄ちゃんの奥さんの奈々ちゃんもテレビのインタビューを受けていて、そのお姫様のような容姿が世間の話題をさらったことも覚えている。

見た目のその綺麗な印象と違って、奈々ちゃんの性格はかなり男前であっぱれな性格なんだけど。

それもまた竜也お兄ちゃんにはたまらない魅力らしいけれど……。

でも、どうして今その事が出てくるんだろう?

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