甘いシュガー
「どうして…?
私にはそんなことしてくれなかったのにっ!」
そんな言葉を発して佳代子は
はぁ…。
と溜め息を吐いてから俺の顔を見た。
「…。もういいわ。
バカバカしくなってきた。
私も今日で臨時の先生終わりだし」
そう言って白衣を置いて
愛の方を向く。
「……。
私の代わりに晴貴を幸せにしてあげて」
コクリと頷く愛。
それから俺の方を向いて笑みを浮かべる。
これ。俺が惹かれて好きになった笑顔。
さっきみたいにわざとらしい笑顔じゃない。
「晴貴はもう私じゃダメなこと分かってた。
また一緒にいればまた私を見てくれると思ってた。
でも、ダメだった。
あなたはどんなに私といても湯川さんのことしか考えてなかった。
苦しめて…ごめんね。
晴貴よりも良い人探すから」
そう言って佳代子は去っていった。