イジワルなキミの隣で
原点
「またボーッとしてる。集中力なさすぎっ」
「えっ?あ、ごめん」
瀬名君に肩をポンッと叩かれた。
店内にはコーヒー豆の良い香りが漂っている。
夕方からの時間は学校帰りの学生やOLで段々騒がしくなり始める。
そんな時にボーッとしてたらまた怒られるかも。
って
今日は佐伯先輩はいないから
怒られないか……。
「なんか悩み事?」
「うん……ちょっとね」
「恋煩い?」
「ええっ?な、なんでっ?」
「やっぱりな」
あたふたする私に、クスッとからかうように笑う瀬名君。
やっぱり私って
そんなにわかりやすいんだ……。