イジワルなキミの隣で
“ちーちゃん”
先輩達は智沙先輩のことをそう呼ぶ。
“ちーちゃん”
智沙先輩。
どう頑張っても私はこの人に勝てない。
「あーあ。誰かさんのせいで行っちまいやがった」
ぼんやり後ろ姿を見つめていると、どこかからそんな嫌味が。
げっ‼︎
佐伯先輩。
いたんだ。
気付かなかった。
佐伯先輩は駐車止めのブロックの上に座って、真正面からバカにしたように私を見ていた。
「わ、悪かったですね、私のせいで」
光流先輩のいるところには大抵佐伯先輩もいる。
それだけ2人は仲が良いけど、私にとっては敵でしかない。
いくら光流先輩の親友でも、佐伯先輩だけはどうしても許せない。
というよりも、かなり苦手。
ううん、むしろ嫌い。